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SDKMAN!とENSIMEとEmacsでScalaの開発環境構築

 EclimJavaの開発環境構築をしました。同様にちょっとしたScalaのアプリを書きたい時にEclipseやIntelliJ IDEAを起動するのも重たいのでいつものEmacsでScalaの開発環境を構築します。

開発用の仮想マシン

 クラウド上にUbuntu 16.04.3の仮想マシンを用意してパッケージを更新しておきます。

$ sudo apt-get update && sudo apt-get dist-upgrade -y

SDKMAN!

 SDKMAN!GradlesbtなどJVM言語のSDK管理ツールです。最近ではJavaのバージョン管理もできるようになりました。

 ワンライナーでSDKMAN!をインストールします。

$ curl -s get.sdkman.io | /bin/bash
$ sdk version
SDKMAN 5.5.9+231

Java

 SDKMAN!を使ってインストールできるJavaのバージョンを一覧します。

$ sdk list java
================================================================================
Available Java Versions
================================================================================
8u141-oracle
8u131-zulu
7u141-zulu
6u93-zulu

 OpenJDKベースのZuluの8を使います。

$ sdk install java 8u131-zulu

 シェルを起動し直して$JAVA_HOME環境変数を確認します。

$ echo $JAVA_HOME
/home/cloud-user/.sdkman/candidates/java/current

Scalaとsbt

 Scalaのインストール可能なバージョンです。

$ sdk list scala

================================================================================
Available Scala Versions
================================================================================
2.12.3
2.12.2
2.12.1
2.12.0
2.11.8
2.11.7
2.11.6
2.11.5
2.11.4
2.11.3
2.11.2
2.11.1
2.11.0

 Scalaを最新の2.12.3をインストールします。

$ sdk install scala 2.12.3

 続いてsbtです。バージョンを指定しない場合は最新がインストールされます。

$ sdk install sbt
$ sdk current sbt

Using sbt version 0.13.15

Emacs

 Emacs24とCaskをインストールします。

$ sudo apt-get install emacs24-nox emacs24-el -y
$ emacs --version
GNU Emacs 24.5.1

 パッケージ管理のCaskです。インストールする時にGitとPythonが必要です。

$ sudo apt-get install git python -y
$ curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/cask/cask/master/go | python
$ echo 'export PATH="$HOME/.cask/bin:$PATH"' >> ~/.bashrc
$ source ~/.bashrc

 ~/.emacs.dディレクトリに以下のような設定ファイルを用意します。

$ tree ~/.emacs.d/
/home/cloud-user/.emacs.d/
├── Cask
└── init.el

 init.elはinit-loaderで分割したい場合は前回の設定を確認してください。

  • ~/.emacs.d/init.el
(require 'cask "~/.cask/cask.el")
(cask-initialize)

 Caskにインストールするパッケージを記述します。

  • ~/.emacs.d/Cask
(source gnu)
(source melpa)

(depends-on "cask")

;; ENSIME
(depends-on "ensime")

 ~/.emacs.dディレクトリに移動してパッケージをインストールします。

$ cd ~/.emacs.d
$ cask install

ユーザーごとの設定

 sbtプラグインのsbt-ensimeはユーザー単位にインストールします。プラグインのディレクトリがない場合は作成します。

$ mkdir -p ~/.sbt/0.13/plugins/

plugins.sbt

 sbtプラグインのsbt-ensimeをインストールします。ホームの~/.sbtにplugins.sbtを作成します。

  • ~/.sbt/0.13/plugins/plugins.sbt
addSbtPlugin("org.ensime" % "sbt-ensime" % "1.12.14")

global.sbt

 sbt-ensimeプラグインの設定を記述します。

  • ~/.sbt/0.13/global.sbt
import org.ensime.EnsimeKeys._

ensimeIgnoreMissingDirectories := true
cancelable in Global := true

 カスタマイズの内容は以下を参考にしました。

プロジェクトごとの設定

 簡単なsbtプロジェクトを作成してEmacsからENSIMEを利用してみます。

$ mkdir -p ~/scala_apps/spike && cd ~/scala_apps/spike
$ cd ~/scala_apps/spike
$ mkdir -p src/{main,test}/{java,resources,scala}
$ mkdir lib project target

build.sbt

 プロジェクト定義をbuild.sbtに書きます。ScalaのバージョンはSDKMAN!でインストールした2.12.3から2.11.8に変えてみました。

  • ~/scala_apps/spike/build.sbt
name := "Spike"
version := "0.1"
scalaVersion := "2.11.8"

.ensime

 プロジェクトのトップディレクトリでsbtを起動します。ensimeConfigコマンドを実行して.ensimeファイルを作成します。

$ cd ~/scala_apps/spike
$ sbt
> ensimeConfig
[info] ENSIME update.
[info] Updating {file:/home/cloud-user/scala_apps/spike/}spike...
[info] Resolving jline#jline;2.12.1 ...
[info] Done updating.
[info] Resolving org.scala-lang#scala-reflect;2.11.8 ...
[info] ENSIME processing spike (Spike)

ENSIMEの使い方

 作成したScalaプロジェクトに簡単なHello Worldのコードを書きます。

起動

 .ensimeファイルがあるプロジェクトのトップディレクトリでEmacsを開きます。ENSIMEサーバーの起動には少し時間がかかります。

M-x ensime

 ミニバッファにメッセージが出るとサーバーの起動終了です。

ENSIME ready. May the source be with you, always.

HelloWorld.scala

mainメソッドを実装したScalaのコードを書きます。

object HelloWorld {
def main(args: Array[String]): Unit = {
println("Hello World!")
}
}

scala-mode

 scala-modeはENSIMEをインストールすると自動的に使えます。個別インストールも可能です。Scalaのコードを書く場合の基本的なモードです。例えばEmacsからScala REPLを起動してみます。キーバインドの意味はcontrol を押しながらc、v、controlを離してzです。

C-c C-v z

 プロジェクトのbuild.sbtに定義した2.11.8のREPLが起動しました。

Welcome to Scala 2.11.8 (OpenJDK 64-Bit Server VM, Java 1.8.0_131).
Type in expressions for evaluation. Or try :help.

scala>

sbt-mode

 sbt-modeも自動的に使えます。このモードではEmacsからsbtを操作するときに使います。sbtのセッションを起動します。

M-x sbt-start

 runコマンドはプロジェクトのmainメソッドをプログラムを実行します。Hello worldが表示されました。

> run
[info] Running HelloWorld
Hello World!
[success] Total time: 0 s, completed Aug 9, 2017 9:07:09 AM